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病人が増えれば日本は変わるのか? [雑感]

今現在、関東で一体どれぐらいの人が「放射能のこと」で悩んでいるのか分からない。

しかし、同時に、自分の周囲を見る限り、絶望的な危機感を持っている人はそれほど多くはないような気がする。

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祖母が「ガン」で入院した時のことを考えた。

身の回りの世話をするために、僕はほぼ毎日「病室」に通った。

診察室や待合室と違って、「病室」はある意味特殊な空間だ。

そこは「病人の世界」で、健康に生活を営む人々とは一線を画している。

だから、自分や近親者がその「当事者」にならないと、深刻な「病い」を理解することは難しいように思う。

しかし一度そういう経験をすると、今までの当たり前の生活が、如何に「健康な人間の世界」であるかが分かる。

福島原発事故前、僕を含めて多くの人にとって原発は「特殊な場所」だったと思う。

それを今のように「ありありと」考えることなど想像もしなかっただろう。

原発が「爆発」し、その被害を受けて、多くの人が原発事故の「当事者」になったはずだ。

しかし、今現在もそう感じている人は果たしてどれぐらいいるだろう。

例えば、文部科学省が学校給食の食材に含まれる放射性物質について、1キログラムあたり40ベクレル以下との目安を示す通知を東日本の17都県の教育委員会に出した。

小出裕章氏によれば、福島原発事故前の米のセシウム含有量は、0.1-0.2ベクレル/kgぐらいだったらしいから、仮に基準値ギリギリの給食を食べたとすると、最悪の場合、子供が今までの400倍の放射性物質を食べることになる。

関東であれば、事故前の空間線量がだいたい0.02μSv/hで、事故後上昇して今は0.10μSv/hぐらいで安定している場所がある。室内も0.06-0.08μSv/hとかあるだろうから、平常時の3〜5倍ぐらいの外部被ばくをする。今後セシウム134が2年で半減しても、その後0.02μSv/hに戻るまで、30年ぐらいかかるだろう。

さらに雨で流されたりゴミで捨てられた放射性物質は、ゴミ処理施設で焼却されて、微細な放射性粒子となって大気中に循環する。(ゴミ焼却場のバグフィルター等の設備によって、どの程度の汚染になるのか分からない)

いずれにせよ、そんな風に全ての人の日常に、原発問題、放射能問題は入り込んで来たわけだから、それが「存在しない」などと言う人はいないだろう。

それがなぜか政府の内部被ばくや土壌汚染の過小評価を通じて、「程度の問題」として片付けられる。

0.1μSv/h上乗せされた外部被ばくを受けながら、400倍のセシウムを食っても、政府が言うように「レントゲンよりたいしたことないから大丈夫」と「気にしない人」と、「いやいや、低線量被ばくはどんなに微量でも危険だ、セシウムは特定の臓器に蓄積して細胞を破壊するから、単純にシーベルト換算して安全と言い切ることなどできない」と「気にする人」に分かれる。

「気にする人」は未だ当事者だ。

「気にしない人」の日常からは、放射能は遠ざかって行く。

汚染環境は全く同じなのに。

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では放射能が原因で病人が増えたらどうなるか?

「気にしない人」も「気にするようになる」のだろうか?

入院してる人は日本の人口の何割ぐらいだろう?

ネットで調べると、2008年ぐらいの統計で、

精神病、糖尿病、高血圧、ガンなど、どうも一日平均140万人ぐらいらしい。

外来患者は1日平均160万人ぐらい。

継続的に治療を受けている総患者数は2000万人ぐらいいる。

「高血圧性疾患」(796万7000人)
「歯及び歯の支持組織の疾患」(600万2000人)
「糖尿病」(237万1000人)
「悪性新生物(がん)」(151万8000人)
「脳血管疾患」(133万9000人)
「白内障」(91万7000人)

などなど。

2000万人の患者の内、入院して治療を受けなければならない人が140万人ぐらいいて、

これにガン患者150万人を加えて、「重病人」を300万人とする。

今の日本の人口は1億2740万人だから、その2.5%ということになる。

そして1700万人ぐらいが継続的治療を受けていて、その人たちを「不健康」とすると、

残りの1億740万人はとりあえず「健康」ということになる。(もちろん慢性疲労とか腰痛とか、何となく体調不良の人とかもいるだろうが、何とか日常生活を送れるという意味で)

だから、こんな感じだろう。

100人に2人ぐらい入院してる人がいる。6人に1人ぐらいが何らかの病気を持って、治療を受けている。

これが全体に、福島原発事故のせいで、全てに渡って「1.5倍」というような途方もない上昇率を示したとする。

これが「途方もない」数字と言うのは、チェルノブイリでもっとも汚染されたベラルーシのゴメリでも、ガンの発症率は10年で1.5倍ぐらいだからだ。

そんなことがもし起きたとする。

入院患者とガン患者が450万人、継続治療を受ける患者数が2550万人になったとする。

「健康」な人間は、1億740万人から9740万人に減る。

こんな最悪のことが起きても(ECRRのリスク換算だとこれぐらいあり得るのではないか)、国は今のガン患者や白血病の患者数の元々の上昇率から、「放射能とは関係ない」と言うだろうし、相変わらず1億人近い人間は気にも止めず「日常」を送るだろう。

そして、「ガン以外は放射能と関係ない」として、1700万人の高血圧や糖尿病患者が2550万人に増えても、「生活習慣のせい」とされるだろう。

さらに、子供の学力や集中力の低下、慢性疲労、白内障といった病気が増えるだろうが、そういった「軽度」と見なされるような病気こそ、適当な理由をくっ付けられてますます放射能とは「関係ない」で終わりだ。

それに、もし子どもの時に放射線障害による病気を発病した場合、その人は一生その病気とつき合うことになるし、病人の数は年を追うごとに増えていくだろう。

ただし、放射能が原因で病人が増えても、それが健常者を上回るなどということはあり得ないだろう。

(この点に関して、ウクライナやベラルーシの『健康な子どもが2割しかいない』という話も聞くのだが、僕はそのデータを見たことがないし、実情を把握することはおそらく困難なので、『そこまでにはならない』と仮定しておく)

すなわち、病気の「当事者」は常にマイノリティーなのだ。

そして、病床から、あるいは闘病しながら仕事を続け、相変わらず楽しそうに暮らす1億人近い人間を、理不尽な思いで眺めることになる。

なぜなら、「病室」という場所は特殊で、それは隔離されて、あまり人目につくことはないからだ。

今この瞬間に、街に出て周りを見渡してみれば、すぐに分かることだ。

人々は楽しそうに歩き、買い物をし、公園で遊んでいる。

それは健康な1億1千万人の世界で、その中から1千万人が病気になって1億人に減ったところで、その光景はたいして変わらないだろう。

それが「日常」と呼ばれる世界で、普通の人にはそこしか見えないし、それ以外を見ようとも思わないし、また「見ているヒマもない」のだ。

どんなに病人が増えようとも、病人は病室に送り込まれ、外を歩き回っている健康な人間の世界は微動だにしない。

だから、よく反原発の人が「10年後にとんでもないことになるぞ!」とか言うけど、1億人ほどの人間がガンにも心臓病にもならずに、とりあえず生活しているだろうから、たぶん、何も起きないと思う。

IAEAの公式見解でチェルノブイリ事故の影響による健康障害は小児甲状腺ガンしか認められなかったのと同じように、これから10年後、孤独に病気に苦しむ人を尻目に、「福島原発爆発したけど何も起きなかった」と宣言されているはずだ。

本当は恐ろしいことなのだ。

重病人が300万人から450万人に増えたとしたら、とてつもない悲劇だ。

それも東電の「事故」のせいで。

だけど、国は「その程度」と思っている。

経済のためなら、その程度は「しょうがない」と思っている。

そして、多くの人間は生活に追われてそんなことに気が付きもしないで生きていくだろうと「見積もっている」し、その「見積もり」は、たぶん当たるだろう。

数年後に誰かがガンになったとしても、その当人と、家族とか友人が、「もしかして、原発?」と思う程度だ。

テレビではそんな病人を映さない。バラエティ番組の合間に、相変わらず公園や繁華街やオフィス街で健康そうに生きる人々を映し出すだけだ。

もし仮に「放射能が原因と思われる病人」が数十年後にドキュメンタリーで取り上げられるようなことがあっても、この原発を「天災」と考えるような印象操作がうまく行って、「ああ、自分たちは生きてるだけ幸せだ」みたいに思う程度で、まさか同じロシアンルーレットに自分や家族が参加しているなんて、夢にも思わないだろう。

ネットでいくら急増する健康障害が話題になろうと、今と同じように「ちょっとぐらいで騒ぎ過ぎ。気のせいだろう」で終わりだ。

「子供の鼻血」や「甲状腺のしこり」に対する反応を見てみればいい。

東日本の子供が「全員」鼻血を出したら大問題になったはずだ。

ところが、鼻血を出した子供は、たぶん全体の1%ぐらいで、そうなると残りの99%は、「そんなのたいしたことない」と言うのである。周囲の人のほとんどは「放射能のはずないだろう。そんなの気にし過ぎだ」で終わりだ。

原発が爆発して、放射性物質が巻き散らされたのだから、せめて「放射能のせいかな?」ぐらい言ってもいいだろう。

ところが、「絶対に」言わなかったし、認めなかった。

病人を慰めるどころか、

国も、メディアも、一般人も、みんなで一緒になって、

「おまえがおかしい」。

3号機の噴煙を目撃したにもかかわらず、だ。

一体何を見ていたのだろう?

原発が爆発して放射能プルームが関東を襲ったその時、東京電力の電気を使い続けて来たトウキョウの人は、

首根っこをつかまれ」200km離れたフクシマの原子炉を「鼻先に突き付けられた

あの時以上に日本人全体が原発事故の「当事者」になることなどあり得えないだろう。

それに比べれば、ガン患者数が1.5倍になるなど、無いに等しい。

ところが、そのトウキョウが日常に戻るのは、あまりに早かった。

そして「原発事故収束」が高らかに「宣言」された。

「さらば原発事故!」

ガンが増えたからと言って、これ以上何が起きるだろう?

だから、もはや、この無関心が永遠に続くんだと思う。

例え戦争が起きたって、全く同じことが起きるだろう。

なぜなら、今がまさに、その「戦争状態」だからだ。









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